制限行為能力者とは
制限行為能力者とは、単独で有効な契約などを行う能力が十分でないと認められる場合に、その人を不利益な契約などから保護するための制度です。
未成年、成年被後見人、被保佐人、被補助人の4つの種類があります。
未成年 | 成年被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
要件 | 18歳未満 | 事理弁識能力を欠く常況にある者。一定の者の申し立て後見開始の審判 | 事理弁識能力が著しく不十分な者一定の者の申し立て保佐開始の審判 | 事理弁識能力が不十分な者一定の者の申し立て本人の同意補助開始の審判 |
保護者 | 親権者 | 成年後見人 | 保佐人 | 補助人 |
保護者の代理権 | あり | あり | なし ※例外 代理権付与の審判可(本人の同意が必要) | なし ※例外 代理権付与の審判可(本人の同意が必要) |
保護者の同意権 | あり | なし | なし ※例外 法第13条1項の法律行為及び同意権付与の審判を得た法律行為 | なし ※例外 法第13条1項の行為の一部につき、同意権付与の審判を得た法律行為(本人の同意が必要。) |
制限行為能力者が単独でしたときの効力 | 本人・保護者の取消し保護者の追認本人の追認 | 本人・保護者の取消し保護者の追認本人の追認 ※日用品の購入その他日常生活に関する行為は取消し不可 | 本人・保護者の取消し保護者の追認本人の追認 | 本人・保護者の取消し保護者の追認本人の追認 |
相手方の催告権 | あり | |||
行為能力の回復 | 成年に達する | 後見開始の取消しの審判 | 保佐開始の取消しの審判 | 補助開始の取消しの審判 |
試験によく出るポイント
取消しができる
制限行為能力者が単独でした行為は、取消しができます。
無効ではありません。「制限行為能力者が単独でした行為は無効となる。」というような趣旨の選択肢は誤りです。
一方、意思無能力者の法律行為は「無効」です。
意思無能力者 | 取消し可能 |
制限行為能力者 | 無効 |
取消しの分類
取消しの規定 | 備考 | |
未成年者 | 保護者の同意がない法律行為は取消せる | 単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については取消せない。 |
成年被後見人 | 取り消せる | 保護者の同意を得た行為も取消せる。 日用品の購入その他日常生活に関する行為は取消せない。 |
被保佐人 | 同意を得なければならない行為であって、その同意を得ないでしたものは、取り消すことができる。 | |
補助人 | 同意を得なければならない行為であって、その同意を得ないでしたものは、取り消すことができる。 |
制限行為能力者の見分け方
成年被後見人、保佐人、補助人を見分ける問題は頻出です。ポイントは次の通りです。
成年被後見人 | 事理弁識能力を欠く常況 |
被保佐人 | 事理弁識能力が著しく不十分 |
被補助人 | 事理弁識能力が不十分 |
行為能力の回復
成年被後見人、保佐人、補助人は、取消しの審判がなければ、行為能力は回復しません。
例えば、「事理弁識能力が回復した場合には、当然に行為能力が回復する。」などの肢は誤りになります。
制限行為能力者の詐術
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができません。
これは、「単に制限行為能力者であることを相手方に告げなかった」だけでは詐術に該当しません。
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