抵当権とは
債務者や第三者が、不動産の占有を移転せずに、担保に供した債権から優先弁済を受けることができる権利のことです。
成立
抵当権設定契約により成立します。
対象
不動産の所有権、地上権、永小作権に設定できます。
対抗要件
抵当権を第三者に対抗するためには、登記が必要です。
順位
抵当権の順位は、登記の先後によります。
範囲・効力
被担保債権の範囲 | 元本全額 利息は、満期となった最後の2年分 | |
目的物の範囲 | 付加一体物 (立木や増築部分など) | 効力が及ぶ |
従物 | 抵当権設定時に従物であったものには効力が及ぶ | |
従たる権利 | 建物に設定した抵当権は、敷地利用権にも効力が及ぶ | |
果実 | 債務不履行があった場合は、 その後に生じた果実に 効力が及ぶ。 |
物上代位
物上代位は、払渡し、引渡しの前に差押えなければなりません。
抵当権の消滅
抵当権は被担保債権の弁済や、競売等による被担保債権の消滅、目的物の滅失、混同、放棄が消滅原因となります。
また、抵当権固有の消滅事由があります。
代価弁済 | 抵当不動産の所有権又は地上権を買受けた第三者が、抵当権者の請求に応じて代価を抵当権者に弁済したとき、抵当権は、その第三者に対して消滅する。 |
抵当権消滅請求 | 抵当不動産の第三取得者は、抵当権の消滅請求ができる。 ※主たる債務者、保証人、これらの者の承継人は消滅請求はできない。 |
法定地上権
要件 | 抵当権設定当時に土地の上に建物が存在すること抵当権設定時、土地と建物の所有者が同一であること土地と建物の一方又は双方に抵当権が存在すること競売の結果、土地と建物が別人の所有となること。 |
更地に抵当権が設定されていた場合 | 成立しない |
建物再築 | 成立する |
土地と建物が共同抵当だった場合で、建物再築 | 成立しない |
抵当権設定時、土地と建物が同一人所有だったが、競売時には別人所有だった | 成立する |
抵当権設定当時、土地と建物が別人所有だったが、競売時には同一人が所有していた | 成立しない |
建物共有 | 成立する ※建物収去による社会的損失の回避がこの制度の目的のため。 |
土地共有 | 成立しない |
抵当権の侵害
債務者による侵害
債務者による侵害の場合は、抵当権者は、抵当権に基づく物権的請求権を行使することができます。
第三者による侵害
- 不法占拠者の占拠により優先弁済権の行使が困難となるような状態の場合は、抵当権者は、所有者の妨害排除請求権を代位行使できる。
- 抵当権設定登記後に抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けて占有する者 に対しては、その占有権原の設定に競売手続きを妨害する目的があり、占有により抵当不動産の交換価値が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難になる状態の場合は、抵当権に基づく妨害排除請求ができる。
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