無権代理とは
無権代理とは、本当は代理権がないにも関わらず、勝手に本人の代理人として契約等を行うことを言います。
無権代理は、原則、本人に対して効果が帰属しません。
しかし、例外的に、本人が追認をすれば、効果が生じることになります。
相手方の権利
相手方は、本人が追認するか追認を拒絶するかはっきりしない限り、不安定な立場に置かれるので、相手方には、催告権と取消権があります。
催告権
相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。
そして、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされます。
取消権
相手方は、「本人が追認をしない間は」は、無権代理人と交わした契約を取り消すことができます。
なお、「契約の時」に、相手方が、代理人に代理権がないことを知っていた場合は、取り消すことができません。
無権代理人の責任
相手方は、無権代理人に対して責任を追及することができます。
趣旨 | 本人の追認が得られず、本人に効果が帰属しない場合に、相手方保護し、取引の安全と代理制度の信頼維持をはかるため。 |
要件 | 代理行為があったこと代理人が、自らの代理権を証明できなかったこと本人の追認が得られなかったこと相手方が、代理人として契約した者に、本当は代理権がなかったことについて善意・無過失であったこと代理人として契約した者が、制限行為能力者でないこと |
効果 | 履行又は損害賠償の請求 |
注意すべきポイントは、効果が履行「又は」損害賠償の請求となっていることです。
つまり、履行か、損害賠償のどちらかしか請求できません。
これは、試験に頻出の論点になりますので覚えておきましょう。
なお、無権代理人が責任を負わなくても良い場合があります。
相手方が、無権代理人に代理権がないことを知っていた(悪意)場合相手方が、無権代理人に代理権がないことを知らないことにつき過失があった(有過失)の場合。 ただし、無権代理人が、自己に代理権がないことを知っていた場合は責任を負う。 無権代理人が制限行為能力者であった場合。 |
ポイントは②の場合です。
相手方が、代理人として契約した者に代理権がないことを知らないことにつき、過失があった(ちょっと調べれば、代理権がない者と契約していることに気づけたが、怠った)場合でも、無権代理人が故意に代理権があると偽って契約した場合は、無権代理人を責任を免除してあげる必要はありません。
したがって、②の場合は、相手方は履行、又は損害賠償の責任を負います。
なお、この責任は、相続が発生した場合の帰属が、試験によく出る論点となります。
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